米国在住の大富豪スンダルは、タミルナードゥ州議会選挙への投票のため一時帰国でチェンナイを訪れる。投票所で彼が知ったのは、何者かが彼に成りすまして既に投票を終えていたということだった。スンダルは司法に訴えて再投票の権利を勝ち取るが、その過程で既存の政治家たちの腐敗を目の当たりにして、さらなる行動に打って出る。
『Thuppakki』(12)、『Kaththi』(14)と快作を飛ばしたムルガダース監督とヴィジャイのコンビの第3作目。「1票の重み」のテーマから始まり、現実世界の既成政党への批判を縦横に繰り広げたため、現地での封切り時には物議をかもした。強面なヴァララクシュミ・サラトクマールの迫力ある悪役ぶりも大いに注目された。
監督: | A.R.ムルガダース |
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出演: | ヴィジャイ、キールティ・スレーシュ、ヴァララクシュミ・サラトクマール、ラーダー・ラヴィ |
武術教師アマンは、化学薬品工場につなぐ橋を建設するため、スィク教徒の神木を切り倒そうとする企業オーナー・マルホートラの用心棒に痛めつけられる。翌朝アマンは無傷で回復し、神木に超人力を授けられたことに気づく。母お手製の衣装に身を包み、失敗を乗り越え、アマンはヒーロー「フライング・ジャット」に成長。町の破壊を企てるマルホートラらと対峙する。
高所恐怖症のため飛行は低空。母のお使いもこなす、ほのぼのとした覆面ヒーローを主人公に、自然保護を訴えるメッセージを放つ。テコンドー黒帯のタイガー・シュロフが流れるようなアクションとダンスを披露。豪華なソングシーンは振付師でもあるレモ・デソウザ監督ならでは。ネイサン・ジョーンズ(マッドマックス 怒りのデス・ロード)が怪物悪役を好演。
監督: | レモ・デソウザ |
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出演: | タイガー・シュロフ、ジャクリーン・フェルナンデス、アムリター・シン、ケイケイ・メーナン |
ムンバイのダラヴィ、インドの縮図とも言われる巨大スラムで、王と称されるタミル人カーラ。大勢の子供や孫に囲まれ、大家族の長として平穏に暮らすこの男が、再開発計画をきっかけにその背後にいる宿敵のヒンドゥー原理主義・マラーティー至上主義政治家と対峙する。開発に名をかりた社会的弱者の排除に対抗し、「土地は我らの権利」をスローガンとしたカーラの戦いが始まる。
ダリト(不可触民)解放というテーマを1作ごとに鮮明にするパー・ランジット監督とラジニカーントの、『帝王カバーリ』に続くコラボ。路傍の胸像から書斎の本に至るまでの様々な記号を散りばめ、インド神話を裏返しに下敷きにしたうねるようなドラマの中に社会正義・公正への渇望を訴える。ラスト8分の金縛りの映像は大画面での鑑賞推奨。スラムに湧きおこるタミル・ラップ。
監督: | パー・ランジット |
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出演: | ラジニカーント、ナーナー・パーテーカル、フマー・クレーシー、イーシュワリ・ラーオ、サムドラカニ |
弁護士ジョリーは有名弁護士の助手。殺された夫の訴訟相談に訪れた未亡人ヒナから、ジョリーは自身の独立のため大金を騙し取る。詐欺と分かりヒナは自殺。罪悪感からジョリーは彼女と亡夫のため公益訴訟を起こす。
ヒット作『Jolly LL.B』(13)のキャストを一新し、製作された法廷ドラマ。カシミール問題、ヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の融和等、社会問題が物語にうまく落とし込まれている。17年のヒット作。
監督: | スバーシュ・カプール |
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出演: | アクシャイ・クマール、フマー・クレーシー、サウラブ・シュクラー |
ヒル・ステーションの寄宿学校に寮長としてやって来た謎の男カーリには、ある青年を守るという秘めた目的があった。彼を保護しつつラクナウに向かい、20年前にマドゥライで起きた惨劇の遺恨を晴らす。
ニューウェーブの旗手であるカールティク・スッバラージが、伝統回帰的な「スタイル」重視のラジニ映画を撮ったとして話題になった。空前のマルチスターキャストで展開する非情なギャング・ワールド。
監督: | カールティク・スッバラージ |
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出演: | ラジニカーント、ナワーズッディーン・シッディーキー、ヴィジャイ・セードゥパティ、トリシャー・クリシュナン、シムラン |
1996年に高校を卒業したクラスメートが20年ぶりに集う同窓会。旅行写真家のラームは、初恋の女性ジャーナキに再会して心が揺れる。宵の口から夜明けまでのチェンナイの街を舞台にした2人の対話。
タミル映画の賑やかなイメージを覆すノスタルジックな純愛もの。ヴィジャイ・セードゥパティの不器用な男ぶり、トリシャーの涙目、主演2人の演技が圧倒的。夜のチェンナイの街路の詩情溢れる描写。
監督: | C.プレームクマール |
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出演: | ヴィジャイ・セードゥパティ、トリシャー・クリシュナン、アーディティヤ・バースカル、ガウリG.キシャン、ジャナガラージ |
テーニ地方に住むドゥライは有力者だったが、その腕力頼みの生き方に嫌気がさした妻に去られている。村人の懇請もあり、彼はムンバイに出かけて行き、妻と縒りを戻そうと試み、娘を襲撃者から守る。
『Veeram』(14)から連続してコンビを組んでいるアジットとシヴァ監督の第4作目。カラフルな田舎の祝祭、お約束の乱闘、コテコテのお笑いなど、伝統的娯楽映画を踏襲しながらメッセージを含む。
監督: | シヴァ |
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出演: | アジット・クマール、ナヤンターラ、ジャガパティ・バーブ、アニカ、ヴィヴェーク、ヨーギ・バーブ |
ゴーラヴはアメリカ・マイアミに暮らす平凡な会社員。出張でムンバイを訪れた際交通事故に遭い、その場面を動画で見かけた犯罪者組織が、彼を追いアメリカまで乗り込んでくる。彼は一体何者なのかー。
当初は大ヒット作『バン・バン』(14)の続編企画だったが、結果、別の作品に。クライムアクションながらも、手抜かりなく散りばめられたコメディーが楽しく、「全部の要素メガ盛り」的なマサーラー作品。
監督: | ラージ・ニディモールー&クリシュナDK |
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出演: | シッダールト・マルホートラ、ジャクリーン・フェルナンデス、スニール・シェッティー |
バレーリーに住むビッティは、両親の結婚プレッシャーから逃れるため家出。電車の中で読んだ小説『バレーリーのバルフィ』に自分にそっくりな主人公を見つけ、著者に会いたいと出版元の印刷会社を訪ね、チラーグに出会う。
ヒロインはタバコも酒も嗜む型破りなタイプだが、親が押し付ける結婚から逃れられず、慣習と現代のハザマで悩む。未邦訳の仏小説がベース。著者役ラージクマール・ラーオは翌年の賞レースで演技賞を総ざらい。
監督: | アシュヴィニー・アイヤール・ティワーリー |
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出演: | アユーシュマーン・クラーナー、クリティ・サーノーン、ラージクマール・ラーオ、パンカジ・トリパーティ |
1980年代のカルナータカ州の片田舎。子供の頃から私立探偵に憧れていたのに、巡査の父親によって警察官にさせられたディワーカラ。配置された警察署に起きた難事件を、持ち前の推理力で解決する。
ノスタルジック&グラマラスな80年代の背景の中で、奇人変人揃いの田舎の人間模様が軽妙に描かれ、最後にはホロリとさせる。監督として注目の的のリシャブ・シェッティが、俳優としての力量も示した。
監督: | ジャヤティールタ |
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出演: | リシャブ・シェッティ、ハリプリヤー、アチュート・クマール、ヨーガラージ・バット、プラモード・シェッティ |
裕福な家庭に生まれドバイで育ったファイジはシェフになるのが夢だったが、それに反対する父から勘当される。カリカットの祖父の元に身を寄せ、祖父の経営する大衆食堂を手伝いながら成長していく。
カリカットのムスリム社会を背景に、マラバール・ビリヤニ、パロタなど、ケーララ州の名物料理の垂涎ものイメージを交えながら、青年の成長をのびやかに描く。ゴーピ・スンダルの音楽も魅力的。
監督: | アンワル・ラシード |
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出演: | ドゥルカル・サルマーン、ニティヤ・メーノーン、ティラカン、シッディク、マームッコーヤ |